松枯れ対策に関する請願への反対討論

松枯れ対策に関する請願への反対討論

松枯れに関する請願について、反対の立場から討論いたします。

まず、請願には「松くい虫防除対策協議会を設置し、総合的な松くい虫対策を行うこと」とあります。

市は限られた予算の中で、空中散布、地上散布、伐倒駆除を実施しながら経験を積み、現在の伐倒駆除中心の対策に至ったのだと考えます。

一部、上山田地区で0.3haの地上散布が行われていましたが、私は市の松枯れ対策は妥当であると思います。

協議会がなくても森林審議会があり、そこで十分に議論できるのではないでしょうか。

千曲市は1983年から2025年までの42年間、毎年2,000万円以上の公費を投じて松くい虫対策を行っています。

この間に得た経験と実績から、何が根本的な松枯れ対策かを十分理解しているはずです。

今回の請願は、経緯から察するに空中散布の再開を目的としているように思われます。

「となりの坂城町は空中散布をしているから松が青々としている」
「千曲市は空中散布をしていないから、上山田地区の松は枯れてしまった」
「自分の周りで健康被害を受けた人はいない」
「空中散布に反対している議員は何を考えているのか」
「ふるさとの山があのような姿になって、どう責任を取るのか」

そのような電話を、私を含め4人の議員が受けました。

空中散布を実施したいという強い思いは理解します。しかし、枯れた松が空中散布によって健康な松に回復することはありません。

松枯れが防げないのは、市が対策を怠ったからではなく、感染拡大の速さに伐倒駆除が追いつかないことが要因です。

平成29年から令和6年までの防除事業の推移を見ると、被害木の半分程度しか伐倒駆除できていません。人手も予算も限られています。

枯れ始めた松にはマツノマダラカミキリが卵を産み、翌年の発生源になります。速やかに伐倒し、燻蒸または焼却することが望ましい対応です。

上山田地区は個人所有の山です。所有者が枯れた松を数本処理するだけでも、景観は回復し、有効な防除にもなります。

今年の夏は猛暑と少雨が続きました。来年はさらに被害が拡大する可能性があります。

大田原地区では、集落で協力して森の手入れを行い松枯れを防いでいます。上山田地区では同様の努力がなされているでしょうか。

マツタケ山を守りたいのであれば、自ら行動する必要があります。

以前、屋代駅裏の松が枯れ、土砂災害の危険があると騒がれたことがありました。しかし伐倒も空中散布も実施できませんでした。

それでも現在は、自然に樹種転換が進み、今の気候に適応した森へと再生しています。

千曲市は10年間空中散布を行っていません。その理由は、空中散布は予防効果はあるものの、根本的解決にならないからです。

坂城町は空中散布を行い松が青々としていると言われますが、互いに強い農薬をまき続けながら自分の地域だけ守るという考え方は利己的です。

カミキリムシは移動します。空中散布に公益性はありません。

むしろ、坂城町の空中散布が上山田地区の被害の一因となった可能性も考えられます。

無農薬の畑と農薬を使用する畑が隣接した場合、被害は無農薬側に集中します。同様の現象が起きた可能性は否定できません。

マツノマダラカミキリの飛翔距離は約1kmとされます。県の森林病害虫防除方針では、保全すべき松林の周囲2kmを被害拡大防止区域とする考え方があります。

市境に緩衝地帯を設けるような対策が必要だったと考えます。

松本市では2018年に、ネオニコチノイド系農薬の空中散布について住民らが「効果がない」として提訴しました。

千曲市で同様の訴えが起きないとは限りません。議会がその要請を行う立場になることには賛成できません。

次に、使用農薬の安全性についてです。

坂城町で使用している農薬はチアクリプリド(商品名エコワンフロアブル)というネオニコチノイド系農薬です。

ネオニコチノイドは神経系への影響が指摘され、EUでは予防原則に基づく規制が行われています。

急性毒性は強くありませんが、吸入後、血流を通じて脳へ到達し、神経伝達物質アセチルコリン受容体に影響を与えるとされています。

発達段階の子どもへの影響が完全に否定されているわけではありません。

発達障害との直接因果は特定できませんが、可能性の一因として議論されています。

養蜂家の方の話では、有機リン剤よりもネオニコチノイドのほうがミツバチへの影響が大きいとの証言もあります。

水生昆虫への影響も懸念され、生態系への波及は無視できません。

安全性を示すデータとして大気中濃度が提示されていますが、空気や水は拡散・希釈されるため、検出されにくい特性があります。

河川水だけでなく、底生生物や水中生物への蓄積も検証対象とすべきです。


まとめます。反対理由は明確です。

第一に、空中散布は公益性に乏しく、感染拡大の抑制には伐倒駆除が有効であり、現行体制で十分であること。

第二に、生物多様性の保全と子どもの健康への配慮を優先すべきであること。

健康や環境の問題は、市民全体に関わり、未来世代に影響を及ぼします。

議員の皆様には、責任ある判断をお願いいたします。

以上です。

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